中国における食品市場開拓(1)中長期視点で

日本の食品が中国市場に参入にするには多くの課題・問題点があります。
中国人なら誰しも「安心・安全」と考えている日本食品ですが、価格が高く低価格な中国産食品との比較で選ばれないことが多いのです。また消費者の嗜好の違いを日本企業が正しく捉えきれず、その準備と対応で1年2年といった長期に渡る取り組みが必要とされるのです。
■ジェトロが過去実施した調査によると、食品企業の7割強で事業拡大意欲あり
少子高齢化により日本国内の市場拡大が見込まれないことや、昨今の円安傾向もその拍車をかけています。マックやケンタッキーといったファーストフードの普及といった中国市場の変化もありますが、新しい観点として訪日観光客が日本で知り得た料理や嗜好品を中国に戻っても食べたい。という要求も少しづつですが出てきており、これも中国市場拡大の追い風になりうる事象です。
■日本とは法律や商習慣が異なり市場拡大がなかなか進まない
中国に限らず海外への輸出に関しては食品の生産許可証や様々な手続きが必要ですが、特に中国では地域により(ともすれば認可担当者によって)運用が異なることがあるため、地域毎に深く内情を把握しておく必要があります。許可までに時間を必要とすると賞味期限のある食品では特に問題になるでしょう。また、福島原発の問題で不許可対象県の材料が入っていると輸入禁止となり、そのための現地産証明書を必要とするなどハードルも高いです。
■中長期視野での市場参入を
中国市場においても食品生産地のトレーサビリティー制度が浸透していくのは確実です。食品の安全に関心を持つ人が多くなれば、当然それに高い対価を支払っても得たい人が多くなるでしょうし、そうなれば価格の高い日本食品の優位性も各段と上がってきます。また、着実に中国人の味覚も欧米(日本)に慣れてくるでしょう。(例えば、若い人はカレー味を抵抗無く食べれるようになってきた。と聞いています)
従来中国の食卓に上がることのなかった生野菜が、健康志向の高まりから食べる機会が多くなったり、それに伴いドレッシングがマヨネーズといった調味料の市場が拡大してきているなど、1年2年以上といった長期の市場アプローチが必要でしょう。
■食文化を開拓すること
食は文化と密接に結びついています。例えば、中国では冷水を飲まずお湯を飲むのは身体に良いことだと。昔から言われています。ビールも生暖かいです。生魚や生野菜は不衛生だから必ず火を通して食べる。などなど。。。
そのように日本とは違う食習慣を否定することなく受け入れ、その上で付加価値として日本の食品を提案してこと。”安心・安全”でかつ”美味しく””健康に良い”と思われている日本の食品を中国向けに若干カスタマイズして売っていくこと。それらが食品販売を中国で行うにあたっての大事なポイントだと思います。
~以降、その2に続く~