中国における食生活の変化と生活習慣病

中国では経済発展とそれに伴う国民所得の増加により、食生活が大きく変化してきており、「カップ麺」といったレトルト食品の利用や、外食産業の発展、伝統食の高級化、グルメ化といったとスタイルが当たり前となっています。

中国衛生部の統計情報によると、慢性疾患のなかでも、生活習慣病との関係性が高い高血圧や糖尿病の発生率は2003年から2008年の5年間で都市部においても農村部においても約2倍に増加しており、その後現在に至っても明らかに悪化の一途を辿っています。

中国の食生活の変化
一般的に国の食生活が変化するパターンは4段階に分かれると言われています。
・第1段階:主食(穀物・イモ類)が減少し、米・小麦の増加。
・第2段階:主食(米・小麦)が減少し、副食(肉、卵、水産物、植物油)率の増加
・第3段階:副食(肉、卵等)が更に増加し、アルコール飲料の増加
・第4段階:食の簡易化の浸透(レトルト食品、外食、中食の増加と伝統食品の高級化、グルメ化)
中国でも上記のパターンで食生活は変化してきており、1970年代が第1段階から第2段階、1980年代から1990年代初期に第3段階、以降現在までが第4段階に該当します。肉類や卵、牛乳などの酪農品、魚介類、植物油、野菜、果実などの消費が増えており、こうした傾向は都市部と農村部に共通しているようです。

中国の食生活の特徴
都市部と農村部で食品別消費量の違いを示すと「穀類、酒」で2倍ほど農村部の方が高く、他は全ての食品で都市部の方が高くなっています。
要因としては「所得格差」の他に「食品の入手方法」や「生活スタイルの違い」などが考えられます。価格の高い「肉類や乳製品等」が、所得が3倍ほど高い都市部で消費されているのもデータとして表われています。
なお、国別(米国、日本、中国)の比較で特徴的な事象を示している「野菜の消費が極めて高い」理由は、中国の穀物と野菜を大量に使う食事スタイルが影響していると思われます。また最近は、マックやケンタッキーといったファーストフードが中国のあらゆる都市の街角に出店されており、欧米的な食習慣が次第に中国に浸透してきているのも事実です。

中国の慢性疾患有病率
中国における慢性疾患の推移を見ると、生活習慣病との関係性が高い「高血圧」や「糖尿病」の発生率は2003年から2008年の5年間で都市部においても農村部においても約2倍に増加しています。
中国医療衛生事業白書によれば、慢性疾患の患者は2億6000万人で慢性疾患による死者は全死亡者の85%。慢性疾患の治療負担は全治療費の70%を占めるらしく、慢性疾患にかかると経済的に極めて高い負担に陥るケースが多いことが分かります。

生活習慣病対策のこれから
中国ではまだ病気になってから対処する。という考えの元に治療がされています。
しかしながら、既に日本では”未病(まだ病気になっていない状態)”の段階での対処の有効性が議論され、多くの経験と成果を上げてきています。代表的な例として専門職である管理栄養士による栄養指導もその一つでもあるし、実際中国の病院で日式の栄養指導が試行的にトライアルされています。
今、これらを中国流にカスタマイズして、普段から栄養指導が医療施設で行われることが期待されています。

 

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